14/04/09 板っこ一枚に、、、
白州発不定期日誌

着工から今年で9年目を迎えた「掘っ立ての家」。
お正月早々、「今年中には生活の拠点をこちらに移す」などと全国的に宣伝されたこともあり、家づくりの作業は、優先順位を可能なかぎり上げるようにしているため、目を見張るペース、とまではいかないが、目に見えるペースで進んでいる。

とは言え、、、

目下作業中の床張り。この床材1枚をつくるのに、さてどのぐらいの "ずく" が必要かと言うと、、、



敷地内の高木の中ではいちばん多いかもしれないオニグルミ。実を利用してはいるが、こんなにたくさん要らない、というぐらい数があったので、母屋の建築中に邪魔になるのを何本か伐った。
薪にするにはもったいない広葉樹は、製材所で挽いてもらえば材になる、ということを覚えたのは、この土地にまず最初に建てた小屋が形になった頃だったか、、、
調子に乗って、ちょっとまっすぐな広葉樹は、トラックに載せてせっせと製材所へ運んだ。





うちがお世話になっている製材所は、夫婦でやっている小規模なところで、個人が小口で持ち込んだ丸太でも快く引き受けてくれる(ここがなくなったら、どうしたらいいかわからないぐらい、頼りにしてます、、、)。

挽いてもらった材は、桟積みして乾燥。これがいちばんむずかしい。特に広葉樹は、乾燥中に反ったり、捩れたり、虫が入ったり、、、で、最終的に使えるまでにかなり目減りする。

そして○年後、、、


まずは、自動カンナをかけて材の厚みを揃える。製材所でのカットは精度が高いものではないし、乾燥の過程で厚みがバラバラになっているので、自動カンナで少しずつ削っていくと、同じ厚さの材をつくるのにも結構時間がかかる。

今回は床材なので、幅も揃える必要がある。
材は縦方向にも反っているので、まず丸ノコで一方の直線を出す。

材の上に、合板の定規を載せています。→


 

直線が出たら、平行定規を使ってもう一方の端を切り、幅を揃える。



最後は自動カンナで調整。→



クリックするとYouTubeへ、、、

幅と厚みが揃ったところで、ルーターを使って「実(さね)」の加工に入る。薄い壁板の相決り(あいじゃくり)加工には、十数年前からうちにあるトリマーを使うが、これぐらい厚い板になると、ルーター(元?セルフビルダーから頂いた)の出番。

今回は、本実(ほんざね)なので、雄ザネと呼ばれる凸側と、雌ザネと呼ばれる凹側で、2種類の加工となり、ビットを付け替えては深さを微調整するのが大変らしい(「ルーターがもういっこ欲しいなー」というつぶやきが何度か聞こえた、、、)。






さらに、板の裏に反り防止のための溝を入れる。
丸ノコはなぜかたくさんあるので、これは楽。一度付けた定規は、できれば終わるまでずらしたくない(贅沢なんだけど、、、)。

←そして、床板をはめ込むときにつっかえないよう、雌ザネの下側をほんの少し削る。これはトリマーが使える。

仕上げにサンダーをかける(#120のランダムアクションをかけた後、#240で仕上げ)。→

ちなみにトリマーとサンダーは、発電機じゃなくてソーラー電源を使える。





床板は縦方向にも繋ぐ。縦の繋ぎ目は「雇い実(やといざね)」を使うことにしたので、両方とも凹加工。


←とりあえず、加工が終わった床板。


縦接ぎに使う雇い実(ビスケットジョイントのビスケットの部分)は、サクラの板から作った。→
これもまた時間のかかる作業だが、写真がないので工程は割愛。



やっと床張り、、、おっと、その前に、実(さね)を入れやすいように、手鉋(替え刃式)で角を落とさないと、、、




←実(さね)を入れたら、、、、


→ミニビスでとめて、、、


←縦方向は、雇い実を入れて繋ぐ。

今までの経験上、きちきちに詰めても、材の乾燥がさらに進んで、隙間が開いてしまうことが多い。今回はあまり透かないといいなー、、、

フィニッシュオイルには亜麻仁油か桐油を使いたい、ということで、調べてみたら、自家調合用に材料を小分けして売ってくれる(ありがたい!)名古屋の工房を見つけたので早速注文。どんな仕上がりになるか、楽しみ、、、



というわけで、「かたつむり」のペースはあんまり変わらない模様。加工済みの床板を買えば早いな、と一瞬思ったこともあるらしいが、挽いてもらった材は あるし、加工する道具もあるし(「ひととおり」以上は揃ってます)、、、ま、これがうちの家づくりだから、と開き直ってみたり。

ひとそれぞれいろんな生き方があると思うが、人生で「何を成すか(what you do)」を重んじるひとと、「どう生きるか(how you are)」を大事にするひととでは、なかなか相容れないものがあるんだな、と最近感じることがある。
ずっと前、うちの家づくりのペースを見て、「200年ぐらい生きるつもりですか」と揶揄した人がいたが、そういえば  BE より DO の人生を歩むタイプだった。たぶん、こんな気の長い床板も理解してもらえないだろう。

とは言え、「なんとかファミリア」とか呼ばれるようになる前には、引っ越したい気はする、、、



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