2004/03/06-07 "ドリームアイランド"の冒険

最近この時期の恒例となりつつある一泊二日の山サイツーリング。
知れば知るほどその魅力の虜になるという、誰が名付けたか「ドリーム・アイランド」。
このツバキ咲く夢の島での山サイは、秋の長野のアドベンチャーとは違って、のんびりさわやかなツーリングを意図して計画されているはずなのに、ちょうど天気の荒れやすい時期なのか、はたまた参加者の中に実はとんでもない雨嵐男(女)がいるせいなのか、フェリーと民宿の予約のため決行せざるを得ないという足元を見られているとしか思えないような天気のせいで、去年に引き続き、今年もまた波乱万丈の道行となってしまったのでした。
外は雪!
フェリーの出港時間から逆算すると白州を5時前に出れば間に合うはず、ということで、4時20分起床。着替えを済ませてさあ出発と外に出てみると、あたりは真っ白で唖然、、、

気を取り直して車に降り積もった雪をはらって出発したものの、あたりはすっかり冬景色。このぶんでは、予定していた精進湖線はかなり危ない。御坂峠もダメだろう、ということで、急遽ルートを変更することに。
果たして9時出港のフェリーに間に合うのか!?
とりあえず、いちばん雪の影響が少ないと思われる52号を南下。鰍沢を過ぎる頃には雪雨に変わり、路面状況は問題なくなったけれど、この遠回りルートだと下田港への到着はぎりぎりのタイミング。富沢から52号をはずれて富士宮へ出て、あとはいつものルートで沼津に出たのがすでに7時半頃。港に着いたというT谷さんから電話があったので、ぎりぎりになりそうなので段取りをよろしくと伝えて先を急ぐ。と、しばらくしてまたT谷さんから電話。
  「今事務所に行ってみたら、下田からの船は欠航だって!」
  「えーっ!!!」
  「9時30分に熱海から条件付きで出航するらしい」
  「わかった、じゃあこっちは熱海に直行します」
すでに下田港に着いていた静岡組とも連絡がついて、8時半頃熱海港に無事全員集合。あーよかった、と言ってる場合ではなく、フェリーはあくまで「条件付き」の出航。つまり、海の状況によっては熱海に引き返すこともあるので、それを承知の上で乗ってね、ということらしい。条件付きでも何でもとにかく島に向かうしかないので、チャリを輪行袋に詰め込み、船に乗り込む。
富士山

「密閉された」乗り物にとても弱い私は、出港と同時にデッキへ。
条件付き、というだけのことはあって、海は大荒れ。デッキの上は、出入り禁止にならないのが不思議なくらいの揺れと風と波しぶき。
それでも中に入った瞬間に酔いそうになるので、結局最後までデッキの上で震えながらがんばりました。島に着く頃には、身体は潮でべとべと、、、 

これは揺れに耐えながら撮った富士山。
海沿いの道

条件付き、ということでちょっと心配しましたが、船はとりあえず接岸できたようで一安心。港で輪行袋からちゃりを取り出して組み立て、まずは島の周回道路を走り出します。

途中でさらに海よりの未舗装路にシフト。去年はこの海沿いの道ですでに雨でした。今年は風はあるもののさわやかな天気。この時点では、まさか今年も遭難疑似体験(?)ができるとは思いもしなかったのですが、、、
M原山への登り

M原山への道。海が綺麗です。

しかし、このあたりから、まっすぐ進むのがだんだんつらくなってきました。そう、天気こそよいものの、去年とは桁違いの風が、海の中にぽつんと立っているこの山を直撃していたのです。
ここはモンゴル?

まるでモンゴルのような風景。

panorama
風強し

去年悪天候に阻まれて断念したダウンヒルを今年は何としても決行しようと、尾根道をピークに向かう一行。
しかし、このときにはすでに立っていられないほどの風で、油断しているとちゃりが飛んでいきそうなくらい、、、

実はこの20メートルぐらい手前で、私は耐風姿勢をとったまま動けなくなり、10分ほどもがいたのですが一歩も前に進めなかったため、断念して尾根から撤退し、外輪山の中へ。無念!

飛びそうなメガネを手で押さえているため、片手しか使えないT谷さんも、つらそうです。
K形山へ

T谷さんもついに断念して尾根をはずれ、残りの3人は意地でピークを目指します。
前転か? ラインは見えた、行けるぞ!

やっとのことでピークにたどりつきましたが、横風にあおられるため発進もままならない状態だったらしいです。

風の一瞬の隙をついて、いざスタート、、、
そのころ私は、地面の窪みに避難していました。尾根を外れて外輪の中に入ってしまえば風もおさまるだろう、と思ったのですが甘かった、、、 風に吹かれるものが短い草ぐらいしかないので気がつかなかったのですが、外輪の中もかなりの強風が吹き荒れています。
降りてきた2人と合流して最後の1人Jちゃんを待ちますが、なかなかスタートしません。
「身体も冷えてきたよー、はやく降りてきてよー」
「風がちょっとでもやまないと、スタートもできないんだよ」
「でもいやに遅いな。どうかしたのかな」
「あれ、なんか屈伸し始めたよ、、、」
下から見ると、、、

やっと降りてきたJちゃんです。

「いやー、上で足つっちゃってさー。どーしようかと思ったよー、、、」

ねずみおとこ?

私も待っている間に冷えてしまったようで、大腿部にひきつるような痛みが出始めました。や、やばい、、、

下り地点まではほぼ平坦な道ですが、砂にタイヤをとられる上に、強風のため、必死で漕がないと前に進みません。
腿の痛みはだんだんひどくなり、あっという間にみんなに置いていかれます。
Jちゃんに借りたバンテリンも焼け石に水で、漕げないし歩けない、という状況に気持ちは焦るばかり。

いちばんいけないのは気持ちがよわよわになってることだ、と気がついたので、最後は気合いの雄叫びで活を入れてみました、、、と、やっぱり聞こえちゃったみたいで、ぎょっとしたようにこっちをみつめるT谷さんの目が、、、
滑り台

やっとのことで鳥居にたどりつき、海に向かって最後のダウンヒル。かなりの急坂にもかかわらず、海から吹き上げる風に負けて、なかなか前に進みません。

しかし、下るほどに急速に風が弱くなることは去年も経験済み。少し下ると嘘のように風もおさまり、あとは快適なダウンヒルです。途中1回ほど前転しましたが、、、
道路に出るところで宿に電話を入れると、「いやー、(キャンセルの)連絡がないから来られるとは思っていましたが、心配しましたー」と奥さんの声。そういえば、結局下田便は欠航になったわけだし、島に着いたときに連絡すべきでしたね。すみません。

あとは周回道路に沿って宿へ向かうだけ(といっても距離はまだかなりあるけど)なので、みんなに先に行ってもらって、急性筋肉痛の腿をかばいながらとぼとぼと漕ぐ私。宿までの最後の坂道は、もれなく押しました。あー情けない。
お風呂に入ってやっと人心地がつき、おいしい海鮮料理を堪能する頃には、昼間の暴風体験も酒の肴に、、、 

さて、一夜明けて2日目。フェリーの時間もあるので、余裕のスケジュールでさらっと走り、最後にお気に入りの焼酎「御神火」(「特醸」は島内でしか買えない)をザックに詰め込んで帰る、というのがいつものパターンです。何度も来ていると賢くなって、あらかじめ焼酎のスペースを考慮して大きめのザックを持って来たりしています。
御神火

今回は、その御神火の醸造元に立ち寄ってみました。なんか奇抜な建物だなぁと思ったのですが、帰ってきてから調べてみると、なんとあの「タンポポハウス」の藤森さんの作品で、「ツバキ城」という名前までついていました。

残念ながら今日はお休み(事前に連絡しておけば開けてもらえたらしい)なので、外からの見学のみ。
フォレストコース

いつもの御神火スカイライン→秘密の廃道のルートと、しばらく前に雑誌に載っていたMTBコースと、どちらに行こうか迷ったのですが、スカイラインの延々と続く舗装路がつらいという意見もあり、走ったことのないほうが選ばれました。

途中で会った東京の女性バイカーから頂いた雑誌のコピーを参考に、コースの入り口に到着。
彼女の同行者が前日2回も走りに行った、と聞いていたので、どんなおもしろいコースかと思ったのですが、、、
ハイスピードトレイル

うーん、たしかにシングルトレールをかっとばすのが大好き、という向きにはおもしろいかもしれない、、、

難所は皆無です。シューっと走って終わりです。

つまようじが何故!?

最後は港に向かいながら、スーパーや酒屋で買い物です。今年は、大島だけでなく、八丈島や神津島の焼酎にまで手を出してみました。

店を出ようとしてパンクに気づき、がっくり。昨日も最後の下りでパンクしたので今回2度目です。しかも今度はなんと爪楊枝がタイヤにささっていたという、、、
ここ数年で1〜2回しかパンクしたことがないというのに、なんで今回に限って2回もパンクするかなぁ。今年のO島は最後まで災難が続くなぁ、、、(って、トラブル起こしとるのはあんただけやがな)

というわけで、今回もしっかりアドベンチャーツアーになってしまいましたが、前に進めないほどの風、というのがどういうものなのかを身をもって知ることができたのは貴重な体験でした。何があっても降りて来れそうな山だし、気温もそれほど低くないからまだ笑っていられましたが、あれが2000m超の山なら、、、確かに遭難するでしょう、風だけでも。
来年こそはさわやかなツーリングを、と言いつつ、なんか起こらないと面白くないなぁ、というのも本音だったりして、、、


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