10/09/02 平日槍 |
白州発不定期日誌
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朝5時半過ぎに、深山荘対岸の無料駐車場に到
着(歩行者用近道のある奥のほうに余裕で駐められた)。歩き出すと、やはりザックが肩にズシっと重い。慣れなくて、始めはふらふらする。 |
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林道から登山道に入り、穂高平小屋に着く頃には、足取りもかなりしっか
りしてきた。白出沢分岐から、滝谷避難小屋を経て、槍平小屋へ。 なになに? 「ビール5種類冷えてます」 これは、アンチアサヒドライ派には朗報。帰りは絶対ここでビール飲むぞ! 小屋のあたりで山ボーイ付き山ガール2組ほか、何人かの登山者と行き会ったが、みんな飛騨沢をそのまま槍ヶ岳に向かうようだ。やはり南岳新道はマイナー ルートらしい。 |
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さて、ここからいよいよ1000mの急登が始
まる。 「標高2000m」の看板から始まって、100mごとに標識がある。私は前半飛ばしてあとは流すたちなので、がしがし登る。小屋で夕食・朝食用の水を汲ん で私より4〜5キロ重い荷を背負うM氏は、マイペースで登る。 最近は、ちゃりを押して担いで登っているうちに鍛えられたのか、登りでつらいとおもうことがあまりなくなった。まして、今日はザックは重いけど、ちゃりは ないし、しかもキイチゴは食べ放題。暑さも、だんだん標高が高くなるせいか、それほど堪えないし、今回導入したメリノウールのロングスリーブはいたって快 適だし、、、 100mを15〜20分のペースで、順調に高度を稼ぐ。1時間がやけに早い。空は快晴。 樹林帯がいつの間にか終わり、這い松地帯に入ると、穂高連峰が目の前に。存在感がすごい、、、 |
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岩稜帯に入る頃から、さすがに疲れが出てきた。 少し耳の遠いおじさんと行き会う。抜きつ抜かれつしながら進む。 「南岳小屋まで40分」の表示からが、いちばん長かった。山小屋がなかなか見えてこないのがつらい。「スグソコ」って言われてもまだ見えないし、、、 |
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13時、南岳小屋到着!!! 今回、最初は槍ヶ岳のほうから回って槍ヶ岳山荘のテン場に泊まるつもりだった。直前になって、槍の肩のテン場の事情(30張分しかなく、混雑、場所も微 妙)を知り、どうも南岳に泊まったほうがよさそうかも、と当日になってルートを変更。もうひとつ、南岳に早く着いたら、大キレットを空身で偵察に行けるか もという目論見もあった。 とりあえず受付をしてテントを張る。時間が早いせいか登山者はまばら。テントに要らない荷物を下ろして、軽くなったザックを背負い、いざ大キレットへ! |
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が、しかし、、、 実は、小屋に着くあたりでガスが出始め、テントを張っている間にあたりは真っ白けになっていた。穂高どころか、小屋を見てももやっとしている。モチベー ションが下がることこの上ないが、せっかくだし、ちょっとだけ。ガスが晴れるかもしれないし、、、 クサリとハシゴをずんずんと下りていく。 途中、白髪のおじいさんがえいこらさと登ってきたので、長谷川ピークはまだ遠いですよね、ときいてみる。おじいさんは几帳面に手帳を取り出し、 「ここまでちょうど1時間でした」 うーん、どうしようか、、、 結局ガスは濃くなるばかりで、もう少しで底かな、というあたりで撤退を決める。長谷川ピークまで行きたかったが、行っても何にも見えないし、ここで雨に降 られたらやっかいだし。雨じゃなくても、さっきからガスで髪もザックもしっとり濡れている。 ま、今日のところはこのへんで勘弁しといたろ! |
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テン場に戻ったのが15時。持ってきたワインを少し飲んでちょっと昼
寝。 夕方、そろそろおなかすいたね、と、心なしか少し薄くなったガスの中、夕飯(ポタージュスープパスタ&オイルサーディンパスタ)を作っていると、テン場の すぐ横に、カメラを持って数人が集まっている。 なんと、雷鳥の親子(母+子×3)が食事中!!! みんなで取り囲んで写真を撮っているのに、全く意に介さず。夢中で草のタネを食ってる。子供は、ちょうどうちの烏骨鶏の6月に生まれた奴らと同じくらい。 ジャンプして草の先をくわえたまま着地し、首を振ってタネを食いちぎる仕草などもよく似ている。 |
![]() 雷鳥の親子@食事中(動画) |
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パスタ2回戦を食べ終わる頃には、ガスも晴れて、雲海に沈む夕日がきれ
いに見えた。 350ccのペットボトルに入れて持って行ったワインじゃ足りないかな、と、小屋でカップ酒(「北アルプス山小屋限定 秀峰アルプス正宗」)をゲットして 半分コしたが、パスタの食べすぎか、高度のせいか呑み残し、「珍しいね」と驚くM氏に残りを進呈する。 寝る前にトイレに行くと、まさに満天の星空。 (ちなみに南岳小屋にはバイオトイレが導入されていて、おがくずと攪拌されて処理されるので、心が少しは軽い。やっぱり南岳小屋にしてよかった、、、) しかし、夜半過ぎから風が出て、テントがバタバタとあおられ、気になってあまり熟睡できず。 警戒していた寒さは全然大丈夫で、夏用シュラフ(バロウバッグ♯7)で十分だった(ダウンジャケットと冬用アンダーは暑くて途中で脱いだ)。 |
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朝になったら止むかな、と期待していたが、5時になってもテントはバタ
バタ、外は真っ白。仕方ないのでテントの中で朝食を作って食べる。外に出ると、テン場のテント(5〜6張)はほとんどがすでに撤収中。私たちも風の中、急
いで片付けて6時頃に出発。 歩き始める頃にはガスも晴れてきた。南岳山頂は、小屋のすぐ先だ。 「あ、槍が見えた!!!」 昨日のルートは、槍ヶ岳のほうは全く見えないので、こんなに近くで見るのは初めて。 「ほんとに、とんがってる!!」 槍ヶ岳への縦走路は、ときどきガレ場、ザレ場などあるものの、おおむね快適。中岳、大喰岳と、だんだん槍が大きくなる。ガスもすっかり晴れて、振り返れば 北穂の小屋がすぐ近くに、その先に奥穂。ジャンダルムはあれかな。ということは西穂はあのあたり、、、 |
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8時すぎに、槍ヶ岳山荘に到着。さすがに、ここはそこそこの人出。ザッ
クを下ろして、カメラと水だけ持って、いざ、槍のてっぺんへ! 昨日大キレット偵察中に出会ったおじいさんが前を登っていたので、はしごの下で少し待ったりしたが、渋滞もなく、15分足らずで山頂へ。 しばし、360度のパノラマに見とれる。 南に穂高への縦走路がくっきり。遠くには富士山。そして南アルプスと見慣れない姿の八ヶ岳、、、 北には、もしかして、これがあのキタカマ尾根? 雲ノ平はあのあたりか、、、 「かあさん、今どこにいると思う?」 振り返ると、例のおじいさんがくしゃくしゃの笑顔。山頂で携帯って、全然好きではないが、ま、こんなにいい顔されたら、今日だけは許しちゃおうかな。 数人しかいない山頂を十分堪能した頃、下から学生3人組がわいわいと上がって来たので、そろそろ下りることにする。 「まじ? これまじ? おれ、まじ怖いっす」 「山でこんな緊張したの、初めてかも」 「これ、人間の来るとこじゃないって!」 大げさに騒ぐ若者たちは、自分たちが登るのに必死で、いつものように涼しい顔ではしごを「前向きに」下りて行くM氏に気がつかないみたい。 職人系ならまったく問題ない技らしいが、私はも ちろん後ろ向きで、、、 |
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ゆっくり休憩して、小屋に着いてからちょうど1時間後に下山開始。少し
遠回りだけれど景色がよさそうな千丈沢乗越のほうを通って、途中から飛騨沢ルートに下りることにする。 (この選択のおかげで、偶然にも、立山方面から縦走中のシェルパ斉藤氏に遭遇してぴっくり!) 槍平小屋までの道は、昨日よりもすごいイチゴ街道。まじめに採ればすぐにカゴいっぱいになりそうだが、まだ先もあるし、口に入るだけにしておく。 下り始めてすぐ、まだ午前中なのに空は雲に覆われ、ちょっと怪しい感じになってきていたが、槍平小屋に着くと、雨まで降ってきた。 暑くはないけど、せっかくなのでビール(なんと5種類の中にオリオンビールがあった!)を買って、お昼にする。とり皮ジャーキーとマヨネーズをはさんだラ イ麦パン、ってまるでおツマミだけど、、、 |
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行きに比べると、荷物の重さにもかなり慣れたので、調子に乗って、飛び
石歩きをしていたら、珍しく膝にきたので、いかんいかんと自重。予想はしていたがやっぱりつらくて長かった林道歩きが終われば、ゴールは目の前。 長いようであっという間の2日間。 〆は、飛騨牛ステーキ串を横目に見ながら食べた、温泉ゆで卵とおいしい湧き水。 あー、楽しかった、、、 北アルプス、人が多すぎて何となく敬遠していたが、あの風景を見ると、みんなが行きたがるのもわかる気がした。次は大キレット、あ、ジャンダルムも、、、 |
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