2006/04/01 自然農学びの会(4月)  Natural Agriculture Regular Gathering (April)


そろそろ桜のつぼみも膨らんでくる季節になりました。
新暦では4月1日、旧暦では三月四日の学びの会です。集合時間の少し前に到着すると、すでに作業の準備を始めている三井さん。
「今日はやることがいっぱいあるから、、、」
と、春はまだ気力も十分のようです。


「前回はいきなり苗床を作りましたが、畑を始める場合の最初の作業は畝作りになります。」
一 度作ったら補修以外はそのままずっと使い続けるので、作業性や作物を植える方向などをよく考えて作ります。作物を植える方向を南北にすれば、朝は東側か ら夕方は西側までどちらからも日が当たるようになりますが、畝の方向は地形や風の方向にも左右されます。ここの畑の場合、地形は平らなので畝はどの方向に もとれます(傾斜地の場合は基本的に等高線に沿って畝を作る)が、風の通りが南北になるので、畝の方向は南北にとったほうが、畝に平行に立てる支柱などが まともに風を受けるのを避けられるとのこと。

で、畝作りですが、耕して畝を作るのではなく、畝と畝の 間の溝を掘ります。これは通路になるので、一輪車などを入れる場合は少し広めにしたほうが作業性がいいようです。乾いた場所の場合は浅く、湿気ている場所 は深めに。畝の幅は、両側の通路から手が届く範囲にすると、作業が楽です。


次に、畝上の草を刈ります。参加者それぞれノコ鎌を取り出して、ざくざくざく、、、
自然農の万能具「ノコ鎌」ですが、使い慣れないとちょっとむずかしい。
「こうやって手前に引くようにすると切れますよ、、、いやもっと、、、そうそう」
「地面ぎりぎりのところで刈るんですか?」
「そうですね、根っこはなるべく残すようにして、、、」
「むずかしいですね。あれ、抜けちゃった、、、」
「抜けたら抜けたでいいんだよ。」
「また植えることもないやね(笑)、、、」
「あんまり気にしていたら草刈りだけで一日かかっちゃうよ(笑)」

人海戦術の作業はにぎやかです、、、


刈った草は一旦脇へのけておいて、溝=通路を整えます。余った土は畝の上へ。
使っているうちにだんだん溝が浅くなったり、畝が平らでなくなったり(かまぼこ型になることが多い)した場合も、同じように補修します。
最後に、のけておいた刈り草を畝の上に戻します。


さて次は、出来上がった畝に種蒔き。
葉物や根菜類は、例外もありますが、だいたい畝と直角方向に条播きすることが多いようです。
種を播くスペース(だいたい鍬幅)の草を脇へのけたら、浅く鍬を入れて平らにならします。


種(これはニンジン)を播きます。

「ニンジンは、秋に播いたものが寒さにあたって大きくなって、春になってとうだちして花をつける、というのが本来の自然な姿です。だから秋播きが主流で、とうだちしないようにしている春播きは少し難易度が高いかもしれませんね。」

「種の入手はどうしてますか?」
「自家採取しているものや、市販のものです。種の購入元もいろいろですが、こういう市販の種だと農薬を使用しているものがあるので、そうでない種が欲しい場合は、自然農法センター(長野県波田町)などから入手するといいのでは、、、」

種を播いた後を、鍬で軽く押さえます。

「種はかなりたくさん播くんですね。」
「ニンジンは発芽率が高くないので多めに播きますね。菜っ葉なんかも、虫に食べられる分を考えて多めに播くことが多いです。それでも食べられてなくなっちゃったりしますけれど、、、(笑)」
「あとは、多めに播いて、間引いた菜っぱを食べたりもできるし、、、」

 
条の脇を少し掘って取った土(草の種が含まれている地表部分は避けてその下の土を使う)をぱらぱらと振りまいて覆土します。

「蕪なんかで、種を播くときにこの中におさまらなくて、この草の部分にはみ出したやつが結構大きくなったりするんですよね。」
「それは1本だけ孤立しているから大きくなるんだろうか、、」
「あれ不思議だよね。どうして、何もしないところに播いたのが大きくなったりするのか、、、」
「人間の手が加わるのがよくないとか。」
「じゃ、この草のところにわざとばらまいとけば、、、」
「いや、狙うとだめなのかも、、、(笑)」
 
覆土した上には、草などをかぶせますが、 これから発芽する種が含まれていたりするので、今回は切り藁を使いました。
藁だとある程度の重さがあるので、風で飛んだりもしにくいようです。

ざくざくとよく切れる押し切り登場。
刃の長さも短めで使いやすく、しかも切るときに刃がスライドするすぐれものです。


次の列との間は、鍬幅分ぐらいあけます。
つまり、種を播くスペースと、草のスペースが「しまうまみたい」になります。

次の列には、大根を播きました。
大根のように種がある程度大きい場合、自家採取した種がたくさんあれば上記のニンジンのような播き方をすることもあるが、購入種ならば一粒ずつ筋播きすることが多いとのこと。
まず、竹をガイドにして、ノコ鎌で地面を切るように線を入れます。

地面に切った溝の中に、数センチ間隔で一粒ずつ種を落としていきます。
あとは手で押さえておしまい。
草をどけて土をならしたり、また上から土や草をかける手間がないので、これは速い。

「土を削らないと、種の周りに草が生えて、作物が草に負けるようなことはないですか?」
「ないですね。地面を削らないからかえって生えにくいんです。削ると、草の種が表面に出てきて、一斉に草が生えてきたりしますけど、、、だから僕はこっちのほうがいいような気がしますね」


次は別の場所に移動して、じゃがいもを植えました。
じゃがいもは、畝に平行に、30〜45センチ間隔で植えます。

種芋は、小さいもの(30gぐらいまで)はそのまま、大きいものは半分に切ります。じゃがいもの芽は、いもがつながっていたところから始まってらせん状に 付いていて、先端部分にいちばんたくさん付いているそうです。なので切るときは、目の数が均等になるように縦半分に切るといいようです。切った芋は、切り 口が乾燥するまでしばらく置いておくとのこと。
「今年は、ストーブの灰がいっぱいあったので、切り口に灰をつけてみました、、、」

ガイドとして張った田引き紐に沿って、ノコ鎌や小鎌などを使って畝に穴を開け、種芋を入れていきます。切ったものは、切り口を下にします。

さて次はいよいよ稲の苗床作りです。
用意した籾を水につけて、沈んだものを使います。

必要な籾の量は、30cm×40cm間隔の1本植えの場合で、1反あたり五合、2本植えの場合だと七合ぐらいだそうです。今日は、田んぼ1畝分の苗床を作るので、籾は七勺使います。

苗床は、田んぼの中に作ります。苗床の場所は毎年変えるようにします。
苗床のスペースを確保して、まずその部分の草を退けます。
幅は、両側から手が届くように、120〜140cm ぐらいがいいようです。1畝分の苗床だと、もう一方の辺はだいたい 180cm〜200cm になります。

みんなで草を刈った後、浅く鍬を入れながら、土をならしていきます。かなり時間をかけて、丁寧に作業していました。

そして籾播き。
苗床の周りをゆっくりと歩きながら、均等に種籾をばら撒いていきます。

「この立ち姿、絵になってますねぇ、、、」
「うーん、さすが。」

さて、このあとは人海戦術です。
ばら撒いた種が2〜3cmの間隔になるように、ひと粒ひと粒手で置きなおしていきます。ひとりでやれば気が遠くなるような作業も、これだけ人数がいればあっという間、、、

これも絵になります。きれいに並んだ籾たち。

播いた種籾の上から、鍬で軽く押さえていきます。

苗床の脇を掘って、覆土のための土を確保する人たち。
土を取った跡は、モグラよけの溝にもなります。

こちらは覆土班。

押し切り班の人たちが製造した切り藁をかけ、その上にさらに長いままの藁を乗せます。

風で飛ばないように竹を置けば完成です。
あとは、苗床の周囲にモグラよけの溝を掘り、芽が出るのを待ちます。芽が出たら、藁束は取り除きます。

今日は作業終了後に種苗交換会もありました(種を物色するのに夢中で、写真がありません)。
そんなにいっぱい種があっても育てる余裕がないんだから、絶対に欲しい種しかもらわない、と固く決意したにもかかわらず、珍しい種があるとついふらふらと 手が伸びそうになって、、、あ、いけないと手を引っ込める。ふと横を見ると、同じような逡巡をしている人がいたりして、、、

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