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8畳一間の小屋に暮らしてもうかれこれ2年になる。一応「家」ができるまでの仮住まいということになってはいるが、「家」が中で暮らせる程度に仕上がるまでにはまだしばらくかかりそうなので、当面はこの小屋暮らしの日々が続く模様。 2間四方しかないのだが、2階建て(1階は土間の物置)のせいか実際より大きく見えるらしい。よく「これで十分じゃない?」とか「なんでこれ以外にうちを建てるの?」とか言われるが、そういうひとに限って、住んでいる家や建てようとしている家はとても広かったりする。 とは言え、実際に暮らしてみると、確かに狭いけれど、8畳という空間は、2人で暮らすのにそれほど無理があるとも思えない。慣れてくればむしろ快適かもしれない。冬だって、窓から入る太陽光と小さな薪ストーブだけで十分暖かく、さつまいもの冬越しや夏野菜の芽出しができるのも、もちろん部屋の向きとか断熱とかはあるにせよ、部屋が狭いというのが大きい。 住まいが狭いので、中にあるものも必要最小限の大きさのものが多い。薪ストーブは、鋳物でこれ以上小さいものはおそらくないと思 うが、それでもこの8畳一間にはオーバースペックで、がんがん薪をくべることはほとんどない。扉も小さいのでピザを焼くのは難しいが、パウンドケーキ型な らちょうど入る。天板も狭いが、やかんひとつとなべ2つならなんとか乗る。台所のシンクは、径36cmのステンレスボールを加工したもの。2人分の食器な らこれで十分だし、山小屋よりもシンプルなお湯だけを使う皿洗い手順のおかげで、4〜5人のお客が来てもそれほど困らない。寝床は部屋の両側にある「畳 ベッド」。文字通り畳一枚分しかないが、2人とも身長が6尺以下なのでこれで十分。当初はシュラフで寝ていたが、私の母が見かねてジャストサイズの布団を つくってくれた。お客がくれば、このベッドが長椅子代わり。 電 気はひいていないので、普段の生活に使う電気(照明、ノートPC、携帯や乾電池の充電など)は太陽光発電で賄っている(「家」の工事は発電機)。ソー ラーパネルは、ちょうど長座布団ぐらいの大きさのが1枚きりで、バッテリーに充電して使っているが、計算では1日に170Wh(ワット時)、つまり10W の電球を17時間点灯する分の電気しか使えない。実はこれは試験的に組んでみたシステムだったのだが、「ぜいたく」を言わなければ何とか暮らせることがわ かって、そのまま今に至っている。「ぜいたく」というのは、スイッチひとつで文句も言わずに回ってくれる洗濯機とか、熱い季節に泡盛をロックで呑みたく なったときにもちゃんと氷がスタンバイしている冷蔵庫とかを指す。よほど自制心の強いひとでなければ、湯水のように出てくるものを「使わない」でいること はとてもむずかしいと思うのだが、使える量が限られていれば、私のように意志の弱い人間でも使わずにいることは簡単。ないものはない、のだから、、、 か くして、太陽の顔を見られない日が続くと、電気がないから今日はもう消灯ね、となる。ぜいたくは言わないといっても、冷蔵庫のない生活にはなかなか踏みき れず、一年のうちの半分は、近所の冷凍庫で(つまりずるいことにひとんちの電気を使って)凍らせたペットボトルをクーラーボックスに入れて、冷蔵庫代わり にして、本当に必要なものだけ入れる。ビールなどは井戸水で冷やせばいいし、野菜や余った料理は、ひんやりと涼しい小屋の1階で大丈夫。 ミニマムな暮らしが理想ではあるが、最小限とは程遠いものもたくさんあることを最後にちゃんと白状しておく。まず「物置」。もらいものだが、スチール製の 巨大なものがある。道具好きなひとや、モノがなかなか捨てられないひとがいるせいか、荷物が多い。借家を引き払うときに、だいぶ処分したが、今の仮住まい に納まらない荷物は、この物置にぎっしりと詰め込まれている。そして「くるま」。諸々の事情(過去の生活の名残り?)で、1トンのボンネットトラックが2 台ある。確かに自分で家を建てたりするにはたいへん便利だが、普段乗るのにこの大きさはとても気がひける。次は燃費のよいコンパクトカーにしようという意 見もあるが、小さいくるまがほんとはあまり好きでない私が、ちょっと難色を示したりしている。 そんなこんなで small=minimum を目指してはいるが、なかなか妥協も多いわが家の暮らしです。次回は "slow" がテーマです、、、 |
畳ベッドとあつらえの布団
うちの「冷蔵庫」
うちのトラックたち
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